採用活動に欠かせない面接。限られた時間でマッチする人材を見極め、応募した求職者の入社意欲を高めていくためには、面接での効果的な質問が欠かせません。
そこで今回は、面接に役立つ効果的な質問を7つの目的別に集め、ご紹介します。
「もっと求職者の本音を引き出せる質問をしたい」「質問のバリエーションを増やしたい」と考える採用担当者の方々に、役立てたらと思います。
CONTENTS
面接の目的は2つ
【1】求職者の見極め
志望動機はもちろん、専門職や中途採用ならば、募集ポジションに必要な経験・スキル・資格を有しているかをヒアリングします。
そして、新卒採用も含めて最も確認したい点は、求職者の人柄・思考特性・大切にする価値観です。求職者が入社後にスキルやポテンシャルを発揮するには、自社の社風や価値観とフィットするかに左右されます。
採用した人材が活躍できるよう、自社の社風や採用方針を明確に説明し、十分に理解してもらうことも面接官の重要な仕事です。
【2】自社の魅力づけ
面接は求職者の入社意欲を高めるよい機会となります。求職者の個性やスキルを生かせる部署やポジション、本人の志向を踏まえたキャリアプランを提案できれば、入社後のイメージが具体化します。
面接を通して「ここに入れば、自分にとってプラスになる」と求職者に思ってもらえれば、選考を辞退されることなく、最終的に内定を承諾してもらえる可能性が高まります。
“見えにくいもの”を具体化するために
求職者の礼儀やマナー、身だしなみや雰囲気といった表にあらわれる部分はコミュニケーションを通じてつかみやすい点です。また、履歴書や職務経歴書に書かれた、学歴・職歴、経験、スキル、一般常識、成果といった事実も、質問を重ねることで細かく確認できます。
一方で、知的能力、思考特性、価値観、意欲など、求職者の内面にあるものは見えにくいものです。さまざま角度から質問を重ね、判断できる情報を得ていきましょう。
「閉じた質問」と「開いた質問」を使い分けよう
面接で質問する際のポイントは、閉じた質問(クローズド・クエスチョン)と開いた質問(オープン・クエスチョン)を使いわけることです。
Yes/Noで答えられる閉じた質問は決断力をはかることができ、自分なりの言葉で答える開いた質問ではコミュニケーション力・思考力・知識量をはかれます。時には思いもよらない話が出ることもあり、求職者の考えや視点の理解にも役立ちます。
7つのシーンで使える56の質問
【1】場の雰囲気づくりに使える質問
緊張感をやわらげるために有効な、アイスブレイクの質問をまとめました。面接の開始直後はまだ緊張している段階ですから、Yes/Noで答えられる質問を何回か重ねるとよいでしょう。
1・今日は暑く(寒く)なかったですか? ※「晴れましたね」など天候の話でもOK
2・この部屋の温度は大丈夫ですか?
3・弊社まではどうやって来られましたか?
4・ここまで迷いませんでしたか?
5・(電車や道路は)混んでいませんでしたか?
6・緊張されていますか?
◎ポイント
「私は寒がりなんですが、○○さんは大丈夫ですか?」など自分の情報を少し伝えながら、名前で呼びかけることで、求職者も自分の話をしやすい雰囲気がつくれます。
【2】コミュニケーションスキルをはかる質問
1・まずは簡単に自己紹介をお願いします。 ※「1分間で」など、時間を設定してもOK
2・周囲からはどんな人だと言われますか?
3・あなたの長所/短所を教えてください。
4・好きなことはなんですか? ※共通点があれば「私も好きですよ」など、共感を示すと良い雰囲気づくりにつながります。
5・コミュニケーションをとる際に大切なことは、何だと思いますか?
6・チーム内では、どんな役割を任されることが多いですか?
7・もしチーム内で意見が対立した時にはどう対応しますか?
◎ポイント
まずは、お互いの紹介からスタートです。堅苦しくならないように心がけましょう。求職者のコミュニケーションスキルはもちろん、コミュニケーションの考え方も知ることで、自社の社風やカルチャーに合っているかを判断しやすくなります。
【3】経歴やスキル、価値観を確認する質問
■新卒採用の場合
1・なぜ、この大学に進まれたのですか?
2・これまでに最も成長できたと感じる瞬間や時期を教えてください。
3・これまでにやり遂げたと思う出来事と、それが実現できた理由を教えてください。
4・チームの物事を進めるために、自ら働きかけたことはありますか?
5・これまでに最も長く続けていることはなんですか?
6・どんなときにモチベーションが上がりやすいですか?
7・どんな社会人になりたいですか?そのために、これから取り組んでいきたいことを教えてください。 ※3年後に描くビジョン/キャリアなど具体的でもOK
■中途採用の場合
1・前職ではどんな仕事をされていましたか?
2・どんなスキルや価値観をもったメンバーと仕事をされていましたか?
3・どんな目的や目標を持って仕事をされていましたか?
4・これまでの仕事で最も評価されたご経験や実績を教えてください。
5・仕事で得意に感じること/苦手に感じることを教えてください。
6・これから伸ばしていきたいスキルはありますか?
7・募集職種で最も大切だと思う点を教えてください。
8・どんなときに仕事のやりがいを感じますか?
9・入社後に実現したいライフプランを教えてください。
10・これまでいろいろな仕事を経験された一番の理由はなんですか?※転職回数が多い場合
11・ブランク期間はどんな風に時間を使っていましたか?※ブランクがある場合
◎ポイント
新卒採用はポテンシャルを、中途採用は経験とスキルを問います。共通するポイントは、より具体性のあるエピソードを引き出せるかです。気になった点は、しっかりと確認しましょう。
【4】中途採用の場合/退職理由の本音を聞く質問
1・転職を考えるようになったきっかけを教えてください。
2・もし、この条件があれば転職しなくても良いと思えることを教えてください。
3・今働いている業界の課題や、不満に感じることがあれば教えてください。
4・(募集職種と)これまでの仕事の違いはどこにあると考えますか?
5・転職してプラス/マイナスに思ったことを教えてください。※転職回数が多い場合
◎ポイント
退職理由は、なかなか本音が出にくいものです。本音に近づくためには寄り添う姿勢が大切。例えば「そうでしたか、大変でしたね」と共感を示すと、心理的安全性が高まります。
【5】ストレス対応力をはかる質問
1・どんな時にストレスを感じやすいですか?
2・仕事でやる気を削がれたことを教えてください。
3・これまでに経験した失敗や挫折を、一つ教えてください。
4・ストレスを感じた時にはどのように対処していますか?
5・休日はどのように過ごしていますか?
6・どんなときが一番楽しいですか?
◎ポイント
変化の多いビジネスシーンでは、ストレス耐性よりもストレスをどうコントロールするかが大切です。求職者が持つストレスへの価値観と具体的なエピソードから問いかけ、ストレスへの対応力をはかりましょう。
【6】カルチャーマッチ/入社意欲をはかる質問
1・応募いただいた最大の理由はなんですか?
2・この業界や当社について、どんなイメージを持っていますか?
3・この業界や当社の将来はどうなると思いますか?
4・就職/転職先を選ぶ際の基準を教えてください。
5・「こういう会社や環境で働いてみたい」という理想はありますか?
6・弊社のどんなところに魅力を感じましたか?
7・弊社の事業や企業理念について、どう思われますか?
8・他に応募されている企業はありますか? ※ある場合は「その企業と当社にはどんな違いがありますか?」と聞いてもOK
9・弊社に入社したら、どんな業務に携わってみたいですか?また、どのような経験やスキルを身につけたいですか?※新卒採用の場合
10・転職後に実現したいことを教えてください。※中途採用の場合
◎ポイント
一次選考の時など、求職者の意欲がそこまで高くないと感じられる場合は、最初から志望動機を掘り下げすぎないように配慮しましょう。高圧的なイメージを持たれてしまうことがあります。
業界や職種の理解を確認しつつ、自社にマッチする求職者の志望度を高めていくと良いです。
【7】面接終盤/魅力づけの質問
1・ここまでいろいろとお聞きしてきましたが、○○さんから当社へご質問はありますか?
2・応募いただいたポジションについて、不明点はありますか?
3・弊社の採用ホームページや求人広告など、募集情報でもっと伝えてほしい/知りたかったことはありますか?
4・もし補足して伝えたいことがありましたら、お話しください。
◎ポイント
質問タイムを設けて理解を深めたり、応募意欲を確かめたり、最後のアピールを促したりと、面接が実りある時間で終われるよう、配慮しましょう。
アピールについては、求職者の評価を伝えた上で「○○の点には懸念があります。その点はどのように考えますか?」など、率直な意見を伝える形での質問も有効です。マイナス面も理解していると話すことで誠実さが伝わり、より良いコミュニケーションがとれます。
“逆質問”を想定しよう
面接の終盤には、求職者に質問の時間を設けていると思います。下記のような求職者からの質問も想定しておきましょう。
・配属部署や同世代の社員は、どんな人がいますか?
・社内や配属部署の雰囲気を教えてください。
・社内のコミュニケーションは活発ですか?
・入社時に必要な心構えを教えてください。
・私が入社した場合、どんな活躍ぶりを期待されていますか?
・〇〇さん(面接担当者)は、この企業で働いていてどんなことにやりがいを感じますか?
・将来、○○(事業や職種など)に関わることは可能ですか?
このほか、事業、ビジネスモデル、商品・サービス、経営理念への質問も想定されます。
求職者の意欲ある質問に答えられるよう、準備しておくと良いでしょう。
こんな質問はNG-話題にも配慮しよう
緊張を和らげるために、思わず求職者のプライベートに触れる話題を出していませんか?恋愛観・宗教観・政治思想など、話の内容によっては何らかのハラスメントにつながってしまう場合もあります。
厚生労働省で公開している『公正な採用選考の基本』から、気をつけたいポイントを、引用してご紹介します。
<a.本人に責任のない事項の把握>
・本籍・出生地に関すること (注:「戸籍謄(抄)本」や本籍が記載された「住民票(写し)」を提出させることはこれに該当します)
・家族に関すること(職業、続柄、健康、病歴、地位、学歴、収入、資産など)(注:家族の仕事の有無・職種・勤務先などや家族構成はこれに該当します)
・住宅状況に関すること(間取り、部屋数、住宅の種類、近郊の施設など)
・生活環境・家庭環境などに関すること
<b.本来自由であるべき事項(思想信条にかかわること)の把握>
・宗教に関すること
・支持政党に関すること
・人生観、生活信条に関すること
・尊敬する人物に関すること
・思想に関すること
・労働組合に関する情報(加入状況や活動歴など)、学生運動など社会運動に関すること
・購読新聞・雑誌・愛読書などに関すること
<c.採用選考の方法>
・身元調査などの実施 (注:「現住所の略図」は生活環境などを把握したり身元調査につながる可能性があります)
・合理的・客観的に必要性が認められない採用選考時の健康診断の実施
引用:公正な採用選考の基本-(3)採用選考時に配慮すべき事項
まとめ-面接はお互いを見極める場
面接は求職者を選考する場ではありますが、同時に求職者が「ここで働けるか」を見定める場でもあります。そのため、面接官は会社の「顔」だという意識を持ち、良い雰囲気づくりを心がけましょう。
求職者の会話スピードやトーンに合わせたり、相手の話に耳を傾け「○○ということですね」と要約して伝えたり、時に自己開示してコミュニケーションをとったりと配慮しながらやりとりを重ねることで、求職者が話しやすいと感じてもらえればより“本心”を知ることができます。
そして、面接を「お互いがこれからポジティブな未来を歩むために、自らのことを伝え合う場」ととらえ、求職者の良い面にもしっかりと注目しましょう。長期的に良好な関係性を築いていく視点を貫ければ、魅力的な人材の採用に大きく近づきます。
◇
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